誰もが1度は書いたことがある書道。
書道といえば「筆」は欠かせませんね。
実は豊橋には伝統的工芸品に認定されている「
今、日本では豊橋筆以外にも「熊野筆、川尻筆、奈良筆」など3つの筆が伝統的工芸品として認定されています。
同じ筆でも地域によって作業工程も異なります。今回は豊橋の伝統的工芸品である豊橋筆の魅力に迫ります。
目次
豊橋筆のここがすごい
豊橋筆の始まりは、文化元年(1804年)、京都の鈴木甚左衛門が、吉田藩(豊橋)から招かれ製造したのが始まりといわれています。
下級武士の副業として取り入れられたことと、穂首の原材料となる狸(たぬき)、いたちなどの獣毛が容易に入手できたことなどから、産地として発展したといわれています。
豊橋筆は原材料の混毛に、水を用いて交ぜあわせる「練(ね)りまぜ」の工程を通じて”墨含みが良く、墨はけが遅く、使いやすい筆”となり、高級品として全国でも有名な高級筆となりました。
平成8年、そんな豊橋筆の伝統工芸士に認定された、川合福男さんに豊橋筆への「こだわり」などを伺いました。
川合福男さん
趣味:モノづくり、釣り
豊橋筆ができるまで!
豊橋筆が完成するまでにはおよそ36工程ほどあるとされています。
その中でも大きく分けると7工程あり、水を用いて交ぜあわせる「練(ね)りまぜ」の工程などは1度だけではなく、職人の目で見て何度も行われます。
①選別:筆を作るのに使用する毛の選別作業です。
②毛もみ:籾殻を焼いた灰をまぶして加熱し鹿皮で毛を巻き、揉んで毛の油分を取り、毛を直し整えます。
③寸切り:『寸木』と呼ばれる定規を使って、はさみで毛をそれぞれの長さに切ります。この工程は筆の形を整える作業となります。
④練りまぜ:原材料の混毛に、水を用いて交ぜあわせる豊橋筆最大の特徴です。
⑤上毛掛けは巻いた穂に上毛(化粧毛)を着せる作業です。
⑥仕上げ:穂の根元を固め軸に差し込み、穂の形をノリで固める作業です。
⑦刻銘(こくめい):名前を彫刻して、完成です。
川合福男さんの豊橋筆へのこだわり
川合さんにとって筆づくりで一番大事にしていることは、「お客様の要望に応えること」と私たちに教えてくれました。
筆づくりを初めて30年たった頃、あるきっかけで「書」のことを知らない自分に気づいたと言います…
その後は、字を習うようになり、自ら書展を開催するなどの経験を通じて、筆を使う方の気持ちを学んだそうです。
今後もお客様の要望を想像し、期待に応えられるように筆作りをしたいとおっしゃっていました。
プロが教える〈筆〉のお手入れ方法
1本1本へ想いを込めて作ったからこそ、長く大切に使ってほしい…
筆職人が伝えたい本当の筆のお手入れ方法とは?
注意ポイントは…豊橋筆の毛は動物の毛を用いているので、湿った状態で長時間置いておくとむれて腐ってしまい、カビの原因となるため、キレイに洗ってきちんと乾かす必要があります。
太筆(お手入れ方法)
- 使用後はすぐにぬるま湯で中の方までしっかりと洗います。
(×:ビンの中などにつけ置きは絶対ダメ。) - 水をよく切ります。
(×:ビンの中に立てて上向きに差して乾かすのはやめましょう。) - 紐にぶら下げて吊るしておく。
- 筆が乾くとボサボサになってしまうが、ボサボサになるのが良く次回以降に書く際は墨をしっかりと含ませて書くと良いそうです。
細筆(お手入れ方法)
(太筆と同様の洗い方でも結構です)
- 濡らしたティッシュを用意します。
- 濡らしたティッシュで少し穂先を整えたらOKです。
- 紐にぶら下げて吊るしておく。
豊橋筆のこれから
最近では、豊橋筆は筆のみならず、福筆プロジェクトなど通じて、30数年前は知られていなかった豊橋筆を少しずつ市民の方々に知ってもらえるようになってきました。
◆福筆プロジェクトについてはコチラ
今後は後継者の方々が安心して活動できる土台を作って行きたいと川合さんは言います。
日本中の伝統工芸士が後継者不足の問題を抱える中、川合さんの元には筆職人を目指す一人の女性姿がありました。
中西由季さん
趣味:身体を動かすこと。
なぜ、筆職人を目指したのか、中西さんの筆との出会いなど、後日インタビューの様子をアップしたいと思います。