こんにちは、ライターの松浦です。
日本語を母語としない外国人と円滑なコミュニケーションをとろう!仲良くなろう!とした時に役に立つ『やさしい日本語』。
今回は『あきえ日本語教室』のあきえ先生が携わっているやさしい日本語ツアーについて書いていきます!
あきえ日本語教室 あきえ先生
日本語教師、入門・やさしい日本語(アスク出版) 認定講師
文化庁委託「就労者に教える日本語教師研修」修了
企業の担当者へのヒアリングを元に、現場の状況にあった『やさしい日本語』講座とワークショップ、異文化理解講座を提案しています。講座は対面かオンラインを選択できます。また、就労外国人向けの日本語研修にも対応します。
目次
やさしい日本語で江戸の歴史と観光地を案内するツアーは日本人にもやさしい
外国人にとって日本のツアーは何語が最適?
さっそくですが、海外旅行をしたいもしくは予定している時、松浦さんなら何をしますか?
うーん、行く国や地域について調べますね。あと少しでもその国の言葉が分かれば安心かなと思うので言語を勉強します。
そうですね。それは日本にやってくる外国人旅行者も同じですよ。
私たちの多くは海外旅行する際、英語をはじめその国で使用されている言語を勉強してから旅行に行きますよね。
日本に訪れる外国人や日本に住んでいる外国人は、英語や母国語ではなく日本語を使って日本旅行したいと思っている方が多いんです。日本語で旅行するために勉強していたり、日本語学校で短期の日本語講座を受けてから旅行に出発する人もいます。
少し難しくてわからない言葉があっても、現地のスタッフから現地の言葉で案内してもらうのが嬉しいのです。
最近、少しずつ美術館や博物館、日本のツアーで『やさしい日本語』が使われるようになってきました。
今回は東京にある旅行会社がはじめた『やさしい日本語で案内するオンラインツアー』をご紹介していきます。
やさしい日本語で下諏訪の本陣を楽しむ
今回参加したオンラインツアーは東京・日本橋人形町のからくり櫓(やぐら)の前からスタートしました。
(画像:東京中央区観光ガイド)
からくり人形たちのショーを楽しんだら、本日のメインテーマ『長野県・下諏訪の本陣』を観光する前に知っておきたい基礎知識のお勉強です。
まずは江戸時代の話から。スライドを見ながら解説を聞きます。
歴史の話となると日常生活では聞き慣れない用語がたくさん出てきます。なのでそもそも『時代』とは?みたいなところから丁寧に説明してくれます。
スライドの漢字にはすべてルビがふってあり、難しい単語にそれぞれ説明が入ります。画像・写真・動画が多く使われ、視覚的にわかりやすい工夫がされていました。
江戸時代につくられた東海道を含む五街道。これらの道はすべて先程からくり櫓を見た日本橋へと繋がっています。そして五街道のうち中山道と甲州街道の合流点にあるのが下諏訪です。
ここで長野県・下諏訪の本陣へ場所が移ります。
本陣に代々お住まいの岩波さんから本陣の朝の準備や関札について話を伺います。実物や大名のイラストが描かれたPOPなどを使っての解説はわかりやすいものですね。画面後ろに映る紅葉も目を楽しませてくれます。
本物の関札をいくつか見比べながら書いてある文字の意味を考えたりチャット機能を使ったクイズがあったりと観ている人も楽しく参加ができました。
スライドで歴史のお勉強を挟み、岩波さんは諏訪大社へ。
神聖な空気が画面越しでも伝わってきます。
実物が見せられない御柱祭とその準備、御神渡りについてやその他の観光スポットについては動画や写真が多く使われたスライドで解説。私たち日本人でも言葉だけだとなかなか頭に入ってこない部分があるので、こういったことが出来るのはオンラインツアーのメリットですね。
スライド解説も岩波さんも話すスピードがゆっくりめなので聞き取りやすく、また生中継では身振り手振りも加わってよりわかりやすかったのが印象的でした。
最後に質疑応答があって、今回のオンラインツアーは終了です。
歴史の授業や教科書もこれだけ分かりやすく楽しめるような工夫がされていたらもっと歴史が好きになっていたかも…。
今回、参加させていただいたのは東京に拠点を構える『阪神トラベル・インターナショナル』が開催している『やさしい日本語で案内するオンラインツアー』。主に香港に住んでいる人を対象としていますが、別の国の人や日本在住の人でも参加できます。
本ツアーは11月25日開催分でいったん一区切りとなりますが、今後もこういったツアーが組まれることを期待しましょう。
『やさにちウォッチ』というサイトではやさしい日本語についての最新情報をやさしい日本語で案内しています。ここでも『やさしい日本語で案内するオンラインツアー』が紹介されていますよ。
記事はこちら ▷https://tsutaeru.cloud/watch/entries/20211026132000.html
また、下諏訪本陣・岩波家では、これまで案内をする時は日本語と英語のみでした。現在はそれに加えてやさしい日本語の案内も出来るよう準備しているそうです。どんな案内が聞けるようになるのか楽しみですね。
静岡県周智郡森町でも計画進行中…!?
2年前、静岡県周智郡森町に移住した友人がやさしい日本語ツアーを計画しているので、ちょっとだけご紹介しますね。
静岡県周智郡森町は遠州の小京都とも言われ、古い町並みが残っています。また、町の作りも京都そのままです。
天宮神社や遠州國一宮の小國神社など多くの神社があります。古くからの商店街にはお茶屋、和菓子屋、麹屋、お米とジェラートの店など、おしゃべりしながら買い物を楽しめるお店が並んでいます。
(蓮華寺の鐘)
4つある窯元ではお土産に陶器を買うことができます。また、古町家をリノベーションしたゲストハウスもあります。有名な町のように観光地化はしておらず、ゆったりとした時間が流れています。
そんな魅力ある森町でやさしい日本語のツアー計画が進行中です。歴史ある神社を巡った後、日本語で店主とおしゃべりしながら買い物が楽しめるツアーにしたいとのこと。開催が待ち遠しいですね。
まとめ
じわじわと広まりつつあるやさしい日本語で楽しむ日本ツアー。通常の日本語ツアーでは景色だけを楽しむしかなかった外国人も、目にも耳にもやさしく説明してもらうことでより日本の魅力に触れることができるようになるのではないでしょうか。
やさしい日本語なら、世界各国、大人から子どもまでみんなが楽しめる日本ツアーが実現できそうですね!