株式会社サイエンス・クリエイトが運営する創業支援施設Startup Garage(スタートアップガレージ)でコミュニティマネージャーと、宙(そら)サポの担当をしている勝間です。
「うちの会社と宇宙ってどうやって接点を考えたらいいの?」という声に応える連載、 “宙スタ”シリーズです。
「未知を極めた者の行きつく先はいつも同じ」
いきなり大人気の鬼退治漫画のセリフみたいな小題ですが…
宇宙への移住が現実に?
宇宙への移住は、もはやフィクションの話ではありません。
例えばJAXAでは宇宙探査イノベーションハブ(TansaX)という枠組みの中に月面を想定した「月面農場」 の実現に向けたコンセプトを検討するワーキンググループ活動を置くなど宇宙移住を前提としたケーススタディや技術検討・成果発表の場を各種設定しています。
「月に小料理屋を開業しよう!」という想定で考えてみましょう。
「月には氷があるかも」と言われているので水(≒酸素)はなんとかなるとして、花崗岩質の砂と人間が吐いた息(CO2)を活かしていかに土を作り、農業を可能にするか。 あるいは多様な種類の野菜を育てるか、少ない水で綺麗に野菜を洗うか、おいしく調理するか(宇宙ではお湯の温度は100℃とは限りません!)……など、実は足元は私たちの暮らしとそう変わらない課題に囲まれているのです。
限られた資源での宇宙暮らしは、きんぴらごぼうのような素材を余すところなく使う丁寧な暮らしにが根付いている日本人には持ってこいのテーマだったりします。
制限がある中でもビジネスとして成り立たせる飲食店の経営や衛生管理の知識、そしてレシピを考える。これこそ、今すぐに参加できる宇宙開発なのです。(宇宙開拓といったほうが適切かもしれませんね)
宇宙探査×地球の課題解決
ちなみに前述の宇宙探査イノベーションハブでは宇宙探査のための技術を地球上でも活かすために研究することをDual Utilizationと呼びます。
月や火星での「探る」「建てる」「活動する」「作る」「住む」といった技術は宇宙探査だけでなく、国連のSDGs(持続可能な開発目標)で掲げられているような地球上での様々な課題(環境・資源問題等)の解決にも直接的に資する研究であると定義されています。
宇宙利用に特化・限定した技術革新だけでなく、将来的に宇宙利用を目的としつつも研究開発の成果が地上でのイノベーションにもつながることが期待されています。
おわりに
宇宙でトヨタ車が走る未来に月で小料理屋を開こう!なんていうとふざけているようですが、宇宙で作物を育て、調理し、提供するための知識を集め、実現する方法を模索することは2030年・2040年には自分たちの宇宙事業につながると思うとワクワクして来ませんか?
次回からは岡崎信用金庫さんがまとめられた冊子「あいちの地場産業」に基づいてピックアップした愛知県の産業と、宇宙開拓がどのように紐づけられる可能性があるのか、見ていきたいと思います。お楽しみに!
https://www.okashin.co.jp/local/jiba/index.html