国道1号線を車で走ると、二川駅付近で大きな黄色い看板が見えてくる。
 
その看板には大きく赤い文字で「溶射」と書かれている。
 
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溶射とは何だ?

聞きなれない言葉を脳裏に残し、看板の指示通り、右折し本社を目指した。
 
今回は、溶射を専門とする(株)大岩の林専務のもとを訪ねた。
 

大岩

大岩は、1970年(昭和45年)に鋳造会社として設立。鋳造とは高温で溶かした鉄などを型に流し込み、冷やして目的の形状に固めて加工すること。
そこから年月を経て、昭和63年に溶射工場を新設し、徐々に現在の業務形態へと進んでいった。

溶射の技術で、とよはし匠認定もされており、時代の流れの中で必要とされる技術を独自に高めていっている企業だ。

そもそも溶射とは何なのか?
 

溶射

溶射とは、加熱により溶融またはそれに近い状態にした粒子を、物体表面に吹き付けて皮膜を形成する表面処理法のことを言う。
「加熱」と言ってもハンパな熱じゃない。
例えば、プラズマ溶射の場合、約12,000~18,000℃のプラズマ火炎の中心部に粉末を吹き込み、瞬間溶融し高速度で基材に衝突、結合して皮膜を形成する。

この溶射の技術により、使用する材料によってその効果も異なるが、耐蝕性、耐摩性、耐熱性、絶縁性などの効果が期待出来るのだ。
 

 
私は、様々な工場に訪問させていただいたが、今回初めて溶射の現場を見た。
溶射を専門に扱う会社は少なく、市場もそれほど大きくない。それもそのはずだ。大岩のコンセプトは「メンテナンスフリー」「部品に付加価値を持たせ長寿命化させる」ことなのだ。極端な言い方をすれば、交換しなくてもずっと使い続けられる部品を作っている。

そのため、同じ部品を大量生産するものではなく、目的に合わせ多様な材料と作業方法の中から最適な方法を見つけ出すといった、高度で専門的な知識が必要とされる。
 

 
しかし、そんなニッチな分野と言える溶射も、最近は徐々に知名度が上がってきていると、林さんは話す。
その一番の原因は、高度化する現代の産業機械設備で、苛酷な条件の中でも機能しうるような部品が必要とされる場面が増えたからである。
ふと身の回りを見ると、最近は壊れにくい頑丈な物が多くなったのでは無いだろうか?
壊れにくい頑丈なものを一般消費者の手元に届けるためには、それを作るためにもっと頑丈な物での加工が必要となるのは当たり前だ。
 

 
溶射を得意とする大岩へは、東海地方のみならず日本各地から問い合わせが来るという。
その理由は、高い技術もさることながら、それ以上に懇切丁寧なカウンセリングにある。
カウンセリングと聞くと意外とも思えるが、溶射を依頼するお客さまの大半は、一般的な加工を施しそれでもなお、ニーズが満たされず依頼してくる場合が多い。そのニーズを詳しく聞き出し、目的に合わせ的確な対応を取れるよう、綿密な面談が繰り返されるという。
どうしても求めるような性能の部品が無くて途方にくれた際、きめ細かな対応をしてくれる大岩になら、少し遠い所からでも頼りたくなる気持ちは、とてもわかる気がした。
 

自分の楽しいと思えるところに居続けたい

林さんの考えるものづくりとは、「考えて動くことが重要」と話す。
 

 
「こんなものを作りたい」というゴールを設定したら、そのセオリーはあるが、そのアプローチ方法に正解はない。それをどうやって作っていくか、どうやったら周りの人が喜んでもらえるかを自分で考えていくのが、楽しさになる。
決まったやり方をするのは、正しいことであり、本当に楽しいのは、その先にある、「自分の考えを入れられる」ことにある。
目的(ゴール)に向かって、自分の気持ちをくみながらプロセスを楽しめる、そんな職場になれるように心がけていると、日々の仕事に対する思いを教えてくれた。
 
林さんに今後の展望を尋ねたところ、
自分の楽しいと思えるところに居続けたい、言い方を変えるとやりがいを持ち続けて仕事をしていきたい。
その一方で、溶射という技術の認知度が上がり、お客さまからの要望も大きくなってきた環境下、それに対応していけるような強い会社にしてきたいとも思っていると、今後について話してくれた。
 

 
これからますます活用の場が増えて行くだろう「溶射」の世界。
求められるニーズにどうやって自分なりの答えを導き出せるか、挑戦し続ける会社が豊橋にありました。
 
 
【会社概要】
株式会社大岩
代表:林 雄三
0532-41-1239
http://www.ohiwa.co.jp/contents/index.html
 
 
 
 

 
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