こんにちは。ちゃんらいです。突然ですが、みなさんは 日本アセットマーケティング 株式会社という会社をご存知でしょうか?
ちゃんらいのもつ資格「公認会計士」は、企業の作成する財務諸表をチェックする役割を担っています。
上場企業が公開する財務諸表は主に有価証券報告書という報告書に掲載されており、公認会計士の仕事ではこの有価証券報告書に触れる機会が多くあります。
公認会計士に限らずとも、有価証券報告書には身近な企業の面白い情報が掲載されているため、皆さんにも是非読んでもらいたい報告書です。なかには豊橋の暮らしにまつわる情報が隠れているかもしれません。
目次
豊橋の「あの場所」
今回紹介する日本アセットーマーケティング株式会社は、東京証券取引所マザーズに上場している企業なのですが、東三河の企業ではないため、聞き慣れない方もいらっしゃるかと思います。
ですが、豊橋にある「あの場所」の今後が気になる方の中には「もしや」と思う人がいるかもしれません。
今回はそんな日本アセットマーケティング株式会社の有価証券報告書・各種決算資料を、豊橋の視点から見てみましょう!
日本アセットマーケティング って何をしている会社?
日本アセットマーケティング株式会社は、東京都江戸川区に本店をおく会社で、主に不動産賃貸や不動産管理、施設の保守・メンテナンスを行っています。
2017年3月期 日本アセットマーケティング株式会社有価証券報告書より
上記は、有価証券報告書に掲載されている事業全体系統図です。こちらの図から3つの収益の柱が記載されています。
①不動産賃貸事業:賃借・保有する不動産の賃貸事業であります。
②不動産管理事業:賃貸した不動産を始めとする、商業施設等における管理・運営・保守等の事業。
③その他事業:効率的な店舗運営やエネルギーの効率的な活用、省エネプラン等を提案。
ビジネスモデルとしては、保有する不動産の賃貸だけでなく、管理・運営・保守なども手がける事で収益の拡大を図っています。
また、図の一番右を見て頂くと「テナント企業及びドン・キホーテグループ」という表記がありますね。
売上高のうち、ドン・キホーテグループに対する割合が94.0%であり、テナントの大半をドン・キホーテに賃貸している会社です。
ドン・キホーテグループ
「関係会社の状況」を見ると、2017年3月現在、株式会社ドンキホーテホールディングスの議決権比率は72.6%とあります。
つまり、株式会社ドンキホーテホールディングスとの関係は親子会社関係となり、株式会社ドンキホーテホールディングスの子会社ということがわかります。
豊橋で「ドン・キホーテ」という言葉が出てくると、ピンとくる方も多いのではないでしょうか。
豊橋の「あの場所」に関する新たな情報が得られないかをさぐります。
「豊橋」を検索してみる
有価証券報告書をPDFファイルでダウンロードしました。
検索ツールで「豊橋」と入力したら、何が出てくるでしょうか?
ヒットしたのは会社の「沿革」という箇所でした。
ホリデイスクエア
もう、おわかりですね。
日本アセットマーケティングは、平成29年3月にイトーヨーカドーが閉店し、テナント跡地の行方について脚光を浴びている複合商業施設「ホリデイスクエア豊橋」を現在所有している企業なのです。
平成28年9月30日にプレスリリースが公表されていますが、平成28年9月30日に契約を締結し、平成29年3月1日に引き渡しが行われています。
平成28年9月30日発表「固定資産(信託受益権)の取得に関するお知らせ」より
このプレスリリースを見ると一つ気になる文章があります。
「契約上の守秘義務により、取得価格については開示を控えさせていただいております。」
このように書かれてしまうと気になってしまうのがちゃんらいの性格です。
さて、どのように調べましょうか?
ホリデイスクエアの取得価額
では、質問です。(某キャリアウーマン風)
ホリデイスクエア豊橋の土地は、いくらで取得したでしょうか?
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「35億」
ネタですが、ネタではありません。
有価証券報告書のこちらをご覧下さい。
愛知県内の主要な設備が掲載されており、有形固定資産の項目別に金額が書かれています。
事業所名が「ホリデイスクエア他4店」とあるため、他の店舗が含まれているのですが、
一方で土地の金額と面積に着目すると、先ほどのプレスリリースに出ていたホリデイスクエアの土地の面積(52,511.74㎡)と一致しています。
このことから、
「上記の帳簿価額≒ホリデイスクエアの帳簿価額」
と考えることができ、帳簿価額はおおよそ取得価額と考えることができます。
表記によれば「3,497百万円」とありますので「約35億」です。
有報によると、当社グループで1年間に総額227億54百万円の設備投資を実施し、10物件を取得しています。その中でも土地だけで約35億円という規模の設備投資は、日本アセットマーケティングの設備投資の中でも大きな案件であると言えます。
それを裏付けるのが、決算説明会資料のコチラのスライドです。
日本アセットマーケティング株式会社 2017年3月期 決算説明会資料より
「当社保有物件の中で最大規模!」と書かれています。先ほども触れたように、ドンキホーテホールディングスへの売上が大半を占める日本アセットマーケティングが、複数のテナントを含む複合商業施設を取得しており、当社にとってもホリデイ・スクエアへの投資は新たな取り組みの一環であったとも言えます。
社長メッセージ
日本アセットマーケティングホームページの「社長メッセージ」を見るとこのような記載がありました。
愛知県豊橋市にある大型複合商業施設「ホリデイ・スクエア」の取得については、当社グループの最大級の賃貸管理物件であり、今回の成功により事業の業容が拡大し、当社グループの中核ビジネスに成長すると確信しております。
http://www.jasset.co.jp/greeting.phpより
この様に、ホリディ・スクエアの取得は、社長メッセージの中でも触れられるほど、日本アセットマーケティングにとっても一大プロジェクトなのであることが伺えます。
賃貸収益の最大化を図ると言うことは、単に賃貸を行うだけでなく、様々な取り組みによって取得した施設の価値を高める事を通じて、賃貸収益を高めることであると考えられます。
そのため、利用者にとってさらに魅力ある施設作りに取り組むと言えるのではないでしょうか。
それから、決算発表資料に目を戻すと、気になるページとして、このようなスライドもありました。
「2017年秋」ホリデイ・スクエア全面オープン予定とあります。
「全面オープン」ということは、旧イトーヨーカドー跡地部分が開業するタイミングと考えられます。
既にMEGAドン・キホーテオープンにまつわる情報が出回っているようです。オープンが待ち遠しいですね。
ちなみに、こんな情報も!
【ブログ更新】"MEGAドン・キホーテ 豊橋店(仮称)10月中旬NEWOPEN!300名募集"
– 愛知豊橋・長坂なおと のblog https://t.co/FrGyboVdXD #豊橋— オトナ音@愛知豊橋 (@otonaoto) 2017年6月29日
そういえば
以前公開した、ちゃんらいのこんな記事を覚えているでしょうか?
(覚えていなかったらこれを期にもう一度読んでみて下さい)
平成29年4月にオープンした鳥貴族は、ホリデイスクエア内のテナントとして出店しています。
◆前回の記事◆
時系列で並べてみると、日本アセットマーケティング株式会社によるホリデイスクエアの取得契約及び引き渡しの後に出店していることになります。
現在公開されている情報のみでは、テナント契約のタイミングがわからないため、日本アセットマーケティングによる施策と判断出来ませんが、賃貸収益の最大化という観点からすると、今後テナントの新規出店誘致にも期待が持てそうです。
終わりに
豊橋市民に長く親しまれ、38年の長い歴史に幕を閉じたイトーヨーカドー。その歴史と賑わいを受け継ぎながら新たに一大プロジェクトとして着目されているホリデイスクエア。全面オープンが予定されている秋の訪れと、今後発表されるであろう公式リリースが待ち遠しいですね(^^)
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