二川駅のすぐ近く
東京から大阪まで総延長777.9㎞の道路、国道一号線。
東海道を起源とするこの長い道路は日本の主要な道路の一つであり、二川の宿場町もそばに構える。
二川駅のすぐそばを車で走らせると、新幹線の走る手前に黄色い看板が目に入る。
戦前からお菓子の製造を行うみかわ大国堂だ。
みかわ大国堂
みかわ大国堂は、甘納豆や水ようかん、寒天ゼリーの製造からバウムクーヘンと様々なお菓子の製造を行っている。自社製品に加え、有名企業の製品や有名地などで売られる製品の製造も幅広く手がけている。
今回取材をしたのは、OEM製造で好評を得ていると評判のバウムクーヘン工場である。
OEM製造
OEMとは、「original equipment manufacturer」の略称で、他社ブランドの製品を製造する事を指す。
みかわ大国堂では、他社が企画・販売するバウムクーヘンの製造を請け負っているのである。
私たちが口にするお菓子にも、ひょっとしたら豊橋でOEM製造されているお菓子があるかもしれない。
木の年輪を連想する焦げ目の輪は、縁起物として様々な場面で進物としても選ばれることから、近年では定番のお菓子の一つとなっている。
工場を見学させて頂くと、バウムクーヘンに個性を生み出す独自の工夫がそこにはあった。
そんなバウムクーヘンの魅力を豊橋の歴史とともに教えてくれたのが、今回インタビューをしたみかわ大国堂の石川社長である。
豊橋生まれ、豊橋育ち。
心から地元豊橋を愛する石川社長がバウムクーヘン工場を案内してくれた。
代表取締役
石川 恵一さん
趣味:食べ歩き
先ほど紹介したように、みかわ大国堂では、バウムクーヘンのOEM製造を行っている。全国各地で親しまれているバウムクーヘンが、実はここ豊橋で製造されていたというのは余り知られていない様に思う。
「みかわ大国堂」という会社名が表に出ないとしても、バウムクーヘンを口にした消費者を笑顔にしてくれる。
そんな縁の下の力持ち。
東京や大阪のお土産品や有名テーマパーク、などのお菓子としても用いられているというから驚きだ。
行楽地のお土産として親しまれているものもあるという。
みかわ大国堂が目指すバウムクーヘン
「シフォンケーキのようなバウムクーヘンを作りたい」
ひとえにバウムクーヘンといっても様々なサイズ、食感や焼き加減があるといい、石川社長が目指すのは、シフォンケーキのようにふわふわでしっとりとしたバウムクーヘンだという。
石川社長自身が納得いくものを作るこだわりが、その出来上がりに表れている。
切れ目を見ると、バウムクーヘンに年輪の模様がないのがわかる。
焦げ目をつけない絶妙な焼き加減によって年輪をあまりつけず、ふわふわの食感を出しているのが特徴である。
ふわふわで、しっとりとした食感が見た目から伝わってくる。
焼きすぎては焦げ目がついて硬い触感になってしまうし、かといって加熱が少ないと生焼けになってしまったり、うまく膨らまない仕上がりになってしまう。
絶妙な火加減によって美味しいバウムクーヘンを作り上げている。
小ぶりで食べやすいサイズのバウムクーヘン。
見た目とはうらはらに、厚みはしっかりとしており、ふわりと食感を楽しみながら一つ食べ出すと、口の中いっぱいに美味しい香りが広がって、優しい甘さが後を追いかけてくる。
もう一つ、また一つと、バウムクーヘンを取る手が止まらない美味しさである。
独自の工程
そして、みかわ大国堂のバウムクーヘンに個性を出すのが、再加熱という「ひと手間」である。
焼き上げたバウムクーヘンをカットしたあと、キャラメルをまとわせ、その上に砂糖を載せる。
こうしたバウムクーヘンを再び加熱すると、まるでブリュレを思わせるようなバウムクーヘンに仕上がるのである。
再加熱の工程は企業秘密。この「ひと手間」で、個性と価値を生み出している。
独自の工程でひと手間を加えることが、みかわ大国堂のバウムクーヘンの魅力である。
現在、お土産スポットで人気を博しているキャラメリゼのほか、様々な味や加工のオーダーに対応している。
また、チョコレートソースがけやフルーツペーストを用いた新たな味付けも日々研究しているという。
工房で生み出される笑顔
「私の会社は『工場』ではなく『工房』です。」
そのように語ってくれた石川社長。
小回りの効いた対応で、個性を引き出し一風変わったお菓子の工夫にも取り組んでいる。
上品な見た目のキレイなお菓子。
独創的なアイデアでこれまでにないものを創り上げる面白さ。
絵本の中に登場するようなカワイイお菓子。
日常の風景に笑顔を生み出すのがお菓子の魅力であることを石川社長は教えて下さった。
生まれ育った豊橋で
生まれも育ちもこの豊橋である石川社長。
ここで過ごした数々の思い出とこの地の住みやすさを語りながら、豊橋にかける想いを語ってくださった。
「お菓子を通じて少しでも『豊橋』を多くのかたに知ってもらいたいですね。いつか『豊橋にはこれがある』という声を沢山の方からきけるようになれば嬉しいです。
地方都市としての課題はありますが、街の魅力が増えれば豊橋は元気になるし、そこで雇用が生まれる。
そうなれば、より豊橋が元気になって地元指向の方が増えてくれる。
豊橋を元気にする好循環を、お菓子の製造を通じて生み出していきたいです。」
地域と共に歩む
豊橋にとどまらず、全国各地に届くお菓子を通じて「豊橋」を知ってもらうことが石川社長の想いである。
「会社が良ければ良いという時代ではない。全国に豊橋で作ったお菓子を売る事で、生まれ育った街に恩返しをしていきたいという気持ちです。街が良くなることで、会社も発展していきますからね。」
東京と大阪の中間地点、気候は温暖で色々と揃っている。
そんな魅力ある豊橋を心から愛し、次の世代へと繋げていきたい石川社長の想いが伝わってきた。
「地域柄、この豊橋はお菓子メーカーの多い地域です。
今の豊橋と言えば、農業生産が盛んな地域と言われていますが、昔は土地があまり良くなく、赤土が多かったと言われています。
だから痩せた土地でも育てられるサツマイモの生産が盛んになり、イモから採れるデンプンを使った飴の製造が盛んになったんですよ。
お菓子メーカーとしての始まりは、飴屋さんという会社も多いです。」
地域の歴史と共にこの地でお菓子製造が発展した過程を教えて下さると同時に、新しい商品開発への取り組みも教えて下さった。
クッピーラムネとのコラボ商品、クッピーラムネわらび餅。カクダイ製菓とのコラボレーションにより実現した、ユニークな商品である。
意表を突いた組み合わせで話題を集めた。
OEM製造は、会社の名前がなかなか表にでない生産方法である。だからこそ、依頼する企業との「共創」が欠かせない製造なのである。共に発展するという石川社長の考え方がOEMの現場にも生かされているのであろう。
みかわ大国堂の「工房」で価値あるバウムクーヘンを販売したい企業は是非とも問い合わせしてみて欲しい。
会社情報
会社名 | 株式会社 みかわ大国堂 |
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代表取締役社長 | 石川 恵一 |
サイト | コーポレートサイト http://www.daikokudo.co.jp/index.html バウムクーヘン専用サイト |